スズキワゴンR MH95S エンジンから異音がする
1年前に新車(スズキワゴンR MH95S)をご購入いただいたお客様から、エンジンからガチャガチャと異音がすると言う事でご相談をいただきました。
新車から1年で走行距離が5000km程度しか走っていないにも関わらず異音がする?
さて、どこからだろう、、、。
と言う事で、お預かりしたワゴンR MH95Sをのエンジンを掛けてみました。
アイドリング状態では異音は発生しませんがエンジン回転数が1200rpmで異音が発生しています。
この時の動画がこちらです。
動画でもすぐわかるくらいにガチャガチャと音がしています。
エンジンの異音はどこから?
動画を見て分かるとおり結論から言うと異音の原因はファンベルトのオートテンショナーでした。
ファンベルトは通常、経年劣化によって緩くなると調整ネジを締めこんで張りを調整しますが、オートテンショナーは調整ネジの代わりにバネの反発を利用してファンベルトを自動で張る仕組みになっています。
一方、エアコンベルトは調整不可のベルト(ストレッチベルト)を使用しています。
ではどうやってオートテンショナーから異音が発生しているのかが分かったのか?
その故障探求方法を解説しますね。
エアコンベルトを取り外す
話しを元に戻すとエンジンから異音が発生している個所はどうやらファンベルト、エアコンベルト付近からのようです。
と言う事はファンベルトとエアコンベルトを取り外すと音が消えるかもしれません。
エアコンベルトを取り外して音が消えれば、エアコンのコンプレッサーやその周辺のプーリーなどがあやしいです。
と、言う事でさっそくエアコンベルトを外します。
まずはタイヤを外しサイドカバーを取り外します。
写真で見ると、エアコンベルトはストレッチベルトが使用されておりベルトの張り調整機構が存在しません。
左側がクランクプーリーで右側がエアコンのコンプレッサー、一番上がウォーターポンププーリーです。
クランクプーリーとエアコンベルトの間に特殊工具を挟んでクランクプーリーを回転させエアコンベルトをずらしながら取り外します。
エアコンベルトを取り外した写真がこちらです。
エアコンベルトを取り外した状態でエアコンコンプレッサープーリーとウォーターポンププーリーを手で触って確認しましたが特に異常はありません。
しかし、エアコンベルトを取り外した状態でエンジンを掛けてみるとやはり異音が発生しています。
と言う事で怪しいのはファンベルトとその周辺の部品です。
次は、ファンベルトを取り外します。
ファンベルトを取り外す
ファンベルトは上下2つのオートテンショナーで張りを調整するような構造です。
メガネレンチを使いオートテンショナーを緩めファンベルトを取り外します。
オートテンショナーを取り外す
オートテンショナーは上下2つあり、それぞれ2本のボルトを緩めて取り外します。
右が新品のオートテンショナーで左が取り外したオートテンショナーです。
上のプーリーはスプリングにテンションロックピンを装着した状態で取付け、下のプーリーはテンションロックピンを取る外して取付けを行います。
取り付けた状態の写真がこちらです。
再度下のプーリーをメガネレンチを使って動かし、ファンベルトを取付けます。
異音が消えました
この状態でエンジンを掛け暖まるまで待ちます。
アイドリングが安定した事を確認し1200rpmまで回転数を上げ、異音が発生しているか確認しましたが異音は無事に消えました。
やはり、ファンベルトのオートテンショナーが原因だったようです。
最後にエアコンベルトを取り付けます。
エアコンベルトは特殊工具を使い取り付けます。
エンジンサイドカバーとタイヤを取り付け、試乗を行いましたが異音は消え静かになった事を確認し無事整備完了です。
まとめ
今回は、ファンベルトのオートテンショナーの異音について解説いたしました。
新車登録から1年程度しか経過していないため、メーカー保証修理となりましたので、お客様のご負担も無くほっとしましたが、メーカーのサービスの方が言うには、エンジンオイル交換などで、オートテンショナー内部にオイルが付着し、異音が発生した事例があるとのことでした。
個人的には、オートテンショナー内部のスプリングにオイルが付着する事で滑りが良くなると思われ、異音が発生すると言うのはあり得ないのでは?と疑問が残りましたが、交換したオートテンショナーはメーカーに送り返すため分解するわけにもいかずモヤモヤとした感情が残ってしまいました。
今後も同じエンジンの車両で異音が発生する可能性もあるので要チェックが必要ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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